2014年12月3日水曜日

2000!


1年はあっという間に過ぎるのに記事が2000に到達するまでの長いこと長いこと。記事の内容はともかくやっと、2000の大台に到達する事が出来ました。多分3000を迎えることは無いだろうと弱気でありますが、いままで、お付き合い下さった訪問者の方々に感謝であります。ちなみに掲載写真は1万枚を突破しております。1000回目の記事→こちら

さて2000回目の記事を飾るのは初見のトビコバチであります。初見ではありますがtukikuiさんのブログ、2012年12月26日の記事の記憶があり、その記事のコメントでezo-aphidさんが有力候補としてEncyrtus aurantiiの名を挙げられています。

カイガラムシに甘露を催促するトビコバチ Encyrtus aurantii

12月1日の記事のカイガラムシを観察中にこのトビコバチはやって来ました。これは産卵にやって来たものと期待してカイガラムシに張り付いていたアミメアリを退け観察を開始しました。

追記:ezo-aphidさんよりヒゲトビコバチの学名はEncyrtus aurantii (Geoffroy, 1785)で 大図鑑新訂もそうなっているようです。詳細はコメント欄をご覧下さい。記事中、追記した箇所はオレンジ色で示してあります。また種名のaurantiiより”?”を外しました。

カイガラムシに対し触角によるドラミング行動を始める。体長約2.2mm

今まで見て来た寄生蜂は産卵出来るかどうかの確認を寄主相手に触角によるドラミング行動によって判別しているように思えました。今回のトビコバチも同様にドラミングを始めたので産卵に来たのだと思いましたが、その行動は甘露を出させる為でありました。

その技術力は高く!!体の薄いカイガラムシからバンバン甘露を排出させておりました。寄主体液摂取( Host-feeding )を行わずとも容易に甘露を排出させる。そのプロの技に食料はカイガラムシの甘露に依存していると推測します。

 1:コマを随分、飛ばしておりますが、かなり小刻みな触角によるドラミング

2:何を感知するのか、スッとカイガラムシに乗り

3:180度振り返る。白い触手と共に甘露が出て来る


肛門を刺激している最中に甘露が出て、そのままありつく事もありますが
  1. 触角の小刻みなドラミングでカイガラムシの肛門を刺激
  2. ドラミングを中止し前に歩きカイガラムシの上に乗る
  3. 180度方向転換して頭部を肛門の方に向ける
  4. あら不思議、肛門より甘露が出て来る
1〜2の儀式が甘露を出させるパターンとして確立しているようでドラミング中に甘露が出る場合を除き、決まってカイガラムシに一旦乗っておりました。このトビコバチに聞いてみたいのは
  1. ドラミングを止めるタイミング
  2. カイガラムシに乗る意味
であります。甘露を出させる最後の仕上げとして上に乗っているように見えますが、さてどうでしょうか。

白い4本の毛。 カイガラムシの肛門の構造も不思議であります


イソギンチャクのような白い触手に甘露を乗せ出て来る。不思議な構造
肛門左右の2つの角も最後はフラットになるようです

同じカイガラムシに5分で3回、甘露を出させていました

スタイルはアミメアリのよう。翅が邪魔にならないよう?腹部に沿って曲がっている

古い大図鑑のヒゲトビコバチの学名 Encyrtus Lecaniorum は異名で現在は
Encyrtus aurantii (Geoffroy, 1785)が有効のようです

このアゴヒゲ?から和名がつけられたのでは?
小盾板の黒いフサからのようです


11月8日撮影 新開公園

 後日の別個体。大図鑑によるとヒラタカタカイガラムシ、ツバキワタカイガラムシに寄生とあります
産卵管は確認出来ませんが産卵していたのかも知れません

11月8日には開いていなかった穴。多分、ここから羽化したのでしょうか


アリの擬態ですがアリを騙す事は出来ないようで追いかけられています
擬態が目的ではなく、このハチの行動からアリのカタチに近づいて行った線もあるかも

ちなみアリとの接触の多いナガコバチのデザインの方向性も似ていると思います
(同倍率で並べました)


いままで1度も遭遇しなかったトビコバチですが11月に3度も見かけました
11月15日撮影 新開公園

8 件のコメント:

  1. Encyrtus aurantii (Geoffroy, 1785) が有効名で 、 E. lecaniorum (Mayr, 1876) は異名です。したがって、大図鑑の新訂版ではヒゲトビコバチの学名は、E. aurantii となっているはずです。 その説明文に、アゴヒゲは出てこないので、「ヒゲ」とは小楯板の黒く長い総状の剛毛と解釈しています。Cheiloneurus 属なども小楯板の「フサ」が元になってるようですし。
    甘露を催促する方法は、アミメアリのまね?かなぁ。・・・・手順に相違点はあるのでしょうか。

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    1. こんばんは
      早速にありがとうございます。アミメアリの本気は見た事がありませんが(気温が高いと本気を出すかも知れません)カイガラムシの傍らでじ〜としている事が多いように思います。「出るまで待とうホトトギス」な感じでしょうか。ヒゲトビコバチの方は織田信長といった感じでしょうか。アブラムシに対するアリの触角の使いにそっくりの印象です。アリとの相違点は触角による連打の後、カイガラムシ本体に乗ると決まって甘露を出すのですが、甘露を出させる技術はアリより高い印象です。

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  2. 2000回達成おめでとうございます。
    そうか! Bloggerはこれまでの記事数が分かるんですね。
    ところで、アミメアリに追いかけられているトビコバチに関してですが、
    アリはにおいで仲間を見分けているので、種によって程度の差はあっても、同種のアリ同士でも巣が異なれば攻撃することもあるようです。ですから、アリと仲良くしようと思えば、姿ではなく、アリと同じにおいを身につけるか、攻撃を抑制する物質を身に付けるかしか無いようですよ。

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    1. ありがとうございますm(_ _)m
      やはり擬態ではなく習性に適するカタチを求めて行くとアリに似てしまった、ということでしょうか。アリが体表の炭化水素によって仲間を判別している事を知らずに「とりあえずカタチを似せておこう!」という線は無いでしょうか..こればかりは当事者に聞いてみないと分かりませんかね(^^;;

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  3. ハチ成虫の餌獲得の行動として、甘露を目的に特化することが良いことなのか、考え込みます。
    Host feeding で体液のたんぱく質を得ることは、卵巣の発育などに役立ちそうなので、こちらは必要な行動でしょう。糖質を一時的に得ることは、マラソンランナーのように、当面の行動エネルギーの一時的確保なので、いわば「おやつ」程度、・・・・まさか”自転車”操業のため?。
    アリも触角でドラミングをやりそうなので、上手に甘露を呼び出す種類がいてもよさそうですが・・・・。

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    1. こんばんは
      甘露だけでやって行くのは確かに栄養失調になりそうですよね。もっと長く観察が必要ですね。
      観察時間が限られているので断定は出来ませんがこのカイガラムシに対するアリのドラミングですがアミメアリ、テラニシシリアゲアリ、ウメマツオオアリはじっとしているだけでサクラアリだけがドラミングを行っていました。

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  4. こんばんは、

    2,000記事達成、おめでとうございjます。しかも、掲載した写真の枚数が10,000枚を越えたそうで凄いです。
    自分のブログを確認してみたら、記事数2,929で何とか3,000までは頑張れそうですが、掲載した写真の枚数の方は、まだ10,000枚を超してないと思います(平均で3枚弱だと思うので)。
    BABAさんのところは、毎回たくさんの写真を掲載しているので、大変だろうな何て思ったりしています(^^)。
    2,000までくれば、3,000もアッと言う間だと思いますが・・・。

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    1. ありがとうございますm(_ _)m
      間もなく3000ですか凄いですね!ここ最近忙しく、また来年から仕事が変わるのでブログが今まで通り継続出来るかどうか微妙な状況であります。なるべく続けたいとは思っておりますが..(T_T)

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