T路になった山道。その交差部に立っている道標。何やら細長いムシがカーーーーっと勢いよく走っている。「これはひょっとして!!」今までネット上で見た類似する寄生蜂の写真を頭の中で繰ってみる。「いたいた、こんな寄生蜂!」先ずは小さく撮って、徐々に撮影倍率を上げ、最終的には採集する算段をしてパチリ。「あ、めっちゃボケてる。落ち着け落ち着け」2枚目パチリ。プ〜ン。...「あ、飛んだ」もう細長いハチは何処にも居ない。うらめしく、しばらくの間その場から動けなかった。
以前、撮影したクサビタマゴクロバチよりもスリムな印象。ただ2枚撮影して1枚もピントが合っていないという情けなさ。初見の奇妙なハチとの出逢いを喜びたいものの撮り逃した喪失感の方がかなり大きかった..
帰宅してネットで調べるとピタリとハマる画像には到達出来ず、色目からタマゴクロバチ、中脚の雰囲気からナガコバチは無いだろうと考え、結果「*腹部は紡錘形だが,一 部の種では伸長する」コガネコバチの仲間だろうと推測。
*山岸先生 「寄生蜂の解説」より
2016年2月8日追記:ナガコバチを研究されています河野さんよりメールを頂きました。それにともないタイトルのコガネコバチ科を改変しました。ありがとうございます!
「コガネコバチ科ではなく、私が専門にしているナガコバチ科のEupelmus属のEpisolindelia亜属のように思われます。もちろん日本からは未記録で新種の可能性が高いものです。私の手元にもいくつか似た個体の標本がございます。(略)日本国内は北海道から奄美大島まで似たような個体が得られておりますが、尾節の長さ等に若干の変異が見られます。また、インドシナ産の標本も確認しております。」
河野さんが撮影された標本写真→こちら
追記:ezo-aphidさんよりコメントを頂きぐぐっと絞り込んだタイトルに改変しました。詳細はコメント欄をご覧下さい。
産卵管の鞘部分の一部が透明で中の管が見えている?
この特徴から直ぐに身元が分かると思いましたが..
9月15日撮影 姫路自然観察の森
まったくのあてずっぽうなので、流し読み程度に・・・・・。
返信削除コガネコバチ科のGastracanthus属2新種を上條先生が1960年に記載してます。全体図は無いのですが、C. nigrescens雌は、体長5mm前後、腹部長は(頭+胸)長の1.5倍とあります。北海道でしか採れていないのですが、たぶんこのあたりなんでしょうね。
もいちど論文を見たところ、同時に発表された他の2属(Janssoniella, Hebestephus)の可能性も残っています。この画像では(きれいな画像でも無理ですが)所属候補を絞ることはできないものの、単純な表題があると便利でしょうから、「?Gastracanthus sp.」としておいたらいかがでしょう。
返信削除ありがとうございます。
削除調べ方が悪いのかGastracanthus属、まったく検索しても画像が出てこないですね。上條先生、1960年に記載ですか、これも驚きました。何とかまた遭遇したい物です..
なぜか、ググルはダメですが、ヤホーなら反応してくれます。といってもコバチ上科DBの図だけですが。
返信削除その後、Hebestephus はGastracanthus に取り込まれていますので、Gastracanthus complex というのは現状ではGastracanthus 10種とJanssoniella 6種の2属16種から成ります。
ヤホーがググルのエンジンを採用と聞いて、どちらも同じと思っておりましたが違うんですね。ありがとうございます。他力本願ですがどなたか撮影してくれないですかね(^^;; 気になります。
削除いや、いや、この悔しさ、よく分かりますよ。低倍率の押さえ画像を何回シャッターを切って、高倍率に上げるかや、1回目のストロボで飛ばれる可能性とか、アドレナリンが上がりますよね。それに、捕獲しようと思った殺気を相手はかなり敏感に感じ取りますものね。
返信削除それにしても、この形のコバチで5mmは巨大ですね。色もきれいそうですし。かなり特異な飛翔形だと思いますが、そちらは見れなかったのですか。
見た目があまり飛べそうに無かったものですから、まさかフラッシュ2発で飛ぶとは思っていませんでした。記事にも述べましたが、かなり気落ちしました..
削除飛んでいる所を目撃出来れば着地点を探せたのですが森の景色に溶け込み完全に見失いました。